この記事を読んで欲しい人 | 避難訓練 | やり方
この記事は
- 自社ビルを管理しているビルオーナーさん
- オフィスビルなどを管理している管理会社の方
- 複合ビルに入居している企業の方
上記の方に向けて書いています。
正直、避難訓練ってやらなきゃいけないの?面倒!と思っている方が多いと思います。
たしかに日頃の仕事で忙しい中、避難訓練は後回しになりがちです。ただ、地震や火災などの災害はいつ起こるかがわかりません。
もくじ | 避難訓練 | やり方
消防訓練の実施は防火防災管理者の責務として消防法に明記されています。もしもの時に人命を守るためにもしっかり取り組みましょう!
今回は一定以上のオフィスビル、飲食ビル、複合ビルなど防火管理が義務付けられている建築物を対象としています。詳しくは管轄の消防署へお問い合わせください。
そもそも避難訓練とは? | 避難訓練 | やり方
まずは、そもそも避難訓練とはどういうものなのかを説明します。
実は正式には防災訓練と言います。東京消防庁のHPでも防災訓練と記述されています。
私もテナントさんに説明する時などは避難訓練と言ってしまいますが、正式には防災訓練と言います。
避難訓練と呼ぶことが多いですが、極端に言えば必ずビルから出て行く『避難』はしなくてもいいのかもしれません。
しかし、普段意識しない避難階段の確認の意味もあるので、私が実施するときは必ず火災発生のシナリオを入れて、最後は避難するようにしています。
訓練実施後に参加してくれたテナントさんに感想を聞くと、「普段使わない避難階段の場所を確認できた!」という声を多く聞きます。
それだけでも実施した意味があると思っています!
訓練の頻度は? | 避難訓練 | やり方
各ビルや事業所ごとに届け出をしている消防計画に記載していると思いますが、基本的には年に2回以上は実施する必要があります。
具体的な時期ですが春は異動や決算、新年度のところも多いので私の管理物件では夏と冬に実施することが多いです。
やらなかった場合は? | 避難訓練 | やり方
防災訓練を実施していない場合は、
- 消防計画を作成し、これに基づく避難訓練等を実施していない
- その他防災管理上必要な業務を行っていない
これらに該当することになりますので、罰則もあり得ます。
消防庁のHPにて違反建築物が公表されています。管轄の消防庁HPで確認してみるのもいいと思います!
実施するときの書類手続き | 避難訓練 | やり方
続いて、実施する中での書類手続きについて説明します。実務において書類は
- テナントさんから聞かれる
- 別の消防関連の検査時に必要
これらの時に必要です。
訓練の前に出すものと、訓練の後に作成して保管するものの2種類が必要です!
訓練通知書 | 避難訓練 | やり方 | 書類
これは避難訓練を実施する日程が決まった時に消防署に提出する書類です。
また、訓練終了後においてもテナントから求められることが多いのがこの書類です。
これから訓練をします!という通知なので訓練の前に消防署に提出します。
FAXでの提出も可能ですが、消防署の受付印をもらった状態で保管しておくと後から便利なので消防署に持参するようにしています。
電子申請が始まりましたが、私はお恥ずかしながらまだ使用したことがありません。
実施結果通知書 | 避難訓練 | やり方 | 書類
訓練が終わった後に記録を取っておく書類です。消防庁のホームページに書式がありますが、
- 実施日、時間
- 参加人数
- 内容
などを記録して保管しておきます。
この書類は消防署への提出の必要はありません。各自作成して、先ほどの訓練通知書とセットで保管しておきましょう。
実務においての流れ | 避難訓練 | やり方
必要な書類はわかりました!じゃあ具体的にどうやって進めていいんですか?
ここからは実務においての進め方を順に説明していきますね!
まずは日程調整 | 避難訓練 | やり方 | 実務の流れ
まずは日程を決めます。原則ビルの中の全テナントが参加する訓練なので参加しやすい時間帯を選びます。
もちろん、ビルに多い業種により異なると思いますが、私が実施した中では平日の朝一番で実施することが多かった印象です。
実施予定日の候補が上がったタイミングで、大口テナントには事前に相談するのもいいと思います。
消防協議 | 避難訓練 | やり方 | 実務の流れ
コロナ対策でほとんどなくなりましたが、大型のビルの場合は消防署の方に参加してもらうこともありました。具体的に何をお願いするかですが、
- 訓練全体の講評を依頼
- 参加者全体の前で話してもらう
- 消防署から備品などを借りて簡単に体験会を行う
こういったお願いをする事ができます。
また、訓練のために借りられるものとしては、
- 水消火器
- 煙ハウス
- AED
- 起震車
コロナ前においてはこれらを消防署から借りて、訓練終了後に体験会を行ったことがあります。
一番参加率が高かったのは起震車ですね。比較的人気で空きも少ないので借りれたらラッキーでした。
内容の設定 | 避難訓練 | やり方 | 実務の流れ
日程が決まったら、次に訓練内容を決定します。例えば、
- 地震発生し、その後火災発生
- 電気機器の故障警報、その後火災発生
上記は一例ですがビルの構造や入居テナントの構成などで想定されるシナリオを作成します。
もし飲食店が入っている場合は、飲食店の厨房から出火した場合を想定して、従業員さんと防災センターの警備さんとで協力して消火活動にあたる内容がいいと思います。
厨房からの火災はいつあるかわかりませんからね!
最近では不審者による放火などもあるのでテロを想定した防災訓練も必要だと思います。
防火防災協議会を実施する場合 | 避難訓練 | やり方
ビルのテナント構成や規模によっては入居テナント全体で防火防災協議会を実施して年に1回程度集まる必要があります。協議会を実施する場合についても触れておきます。
ビルの規模によっては必要がない場合もあります。対象となるビルの届け出方法をご確認の上お読みいただければと思います。
協議会とは? | 避難訓練 | やり方 | 防火防災協議会
同じビルに入居するテナントの代表者、防火防災管理者さん全体で構成する組織のことです。
主にビル側が提出することが多い、
- 統括防火防災管理者の選任
- (全体にかかる)消防計画
- (全体にかかる)自衛消防組織
こういった書類の提出に関して、協議会の同意の元に届け出るといった形式をとることもあります。
管轄する消防署によっても異なりますので、一度相談にいくことをお勧めします。
協議会の内容 | 避難訓練 | やり方 | 防火防災協議会
協議会と名前がついていても、全員が何度も揃って会議などをするわけではありません。
もちろん、集まってももちろんいいのですが本業が忙しかったりコロナで対面を避けたりと様々な要因があり、書面開催とすることもあります。
特に何もない時には、各テナントさんの防火防災管理者さんに下記の事項について注意喚起することは必要かと思います。
- 防火防災管理者の有効期限の確認(5年更新)
- 防火対象物点検・防災管理点検の実施確認(年に1度)
- 消防法の改正がある場合はその概要の周知
実務の上ではこの内容について周知することが必要だと思います。
終わりに | 避難訓練 | やり方 | 防火防災
オフィスビルや複合ビルを対象にした通称「避難訓練」について簡単にまとめさせていただきました。
日頃の業務で忙殺されていると後回しになりがちですが、災害時に人命を守るのが日頃の訓練です。ビルの構造や入居テナント、飲食店や、不特定多数の来館がある場合とそうでない場合とでも必要な訓練は異なってくると思います。
万が一の時のためにきちんと準備していきましょう!最後までお読みいただきましてありがとうございました!
人命を守るために日頃の訓練は非常に大切です。基礎的なところから実務においての注意点までまとめていきたいと思います!