この記事を読んで欲しい人 | 保健所立入検査 | 体験談
この記事は、
- 保健所から立入検査の書類が来た!と焦っている方
- 立入検査って何するの?という疑問をお持ちの方
上記の方に向けて書いています。
目次 | 保健所立入検査 | 体験談
延べ床面積3,000㎡をこえる程度のビルを想定してまとめています。
ただし、ビルの規模や用途・管轄保健所によっても詳しい指導内容などが異なる可能性もあるので、あくまでも参考程度にお読みください!
保健所立入検査の流れ | 保健所立入検査 | 体験談
まず初めに、書類で立入検査の日程について連絡がきます。
もし先方から指定された時間では都合が悪ければ日程の調整も可能ですし、事前準備で何が必要かわからなければ聞けば教えてくれます。
3,000㎡を超えているビルの場合は、建築物環境衛生管理技術者(=通称ビル管)の方の立ち会いも必要なので、そこも確認して日程を決定しましょう。
「査察が来た!」といって、必要以上に構える必要はありません!
また、査察の中でも、現地ではない場所で書類の確認だけ行う場合と、現地確認も行う場合の2パターンがあります。順に説明していきます。
書類の確認のみ行う場合 | 保健所立入検査 | 体験談
建築物衛生法第10条によると、
「特定建築物の維持管理に関し環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類を備えておかなければならない。」
と定められています。ビルの管理において必要な書類についてはおおよそ以下のとおりです。
- 年間管理計画書
- 空調設備関係書類
- 空調設備点検整備記録
- 冷却塔・冷却水管の清掃記録
- 加湿装置の清掃記録
- 空気環境測定記録
- 給水設備管理
- 飲料水設備の管理状況記録
- 貯水槽等の清掃報告書
- 水質検査結果書
- 残留塩素の測定記録
- 中央式給湯(冷水)設備の水質検査結果書
- 防錆剤の維持管理記録
- 注入装置の点検整備
- 中央式給湯水の温度管理記録
- 雑用水設備の管理状況記録・清掃記録書
- 雑用水の水質検査結果書
- 雑用水の残留塩素等の測定記録
- 防錆剤の維持管理記録
- 注入装置の点検整備
- 排水設備管理
- 排水設備の点検記録
- 排水槽の清掃報告書
- 浄化槽の維持管理記録
- グリース阻集器の点検整備記録
- 清掃・廃棄物管理
- 日常清掃記録、大掃除記録
- 清掃に関する設備の点検整備記録
- 廃棄物処理記録
- ネズミ等の防除
- 生息状況点検記録
- 防除実施記録
- 建築図面
- 配置図
- 各階の平面図
- 立面図
- 断面図
- 設備図面
- 空調設備の系統図・詳細図
- 給排水設備の系統図・詳細図
- 貯水槽の詳細図
- 排水槽の詳細図
- その他、機器一覧、仕様書等
上記は一例です。建物の用途、設備により必要な書類は異なります。
書類の確認のみの場合は、これらの書類の中から保健所に指定されたものを管轄の保健所等に持参して確認してもらいます。
もちろん上記の全てではありませんが、直近1年間の点検記録を中心に確認することが多いです。
それでも大変な量の書類が必要です。
真夏に大量のファイルを抱えて保健所に行き、汗だくになった記憶があります。(保健所は駅から遠い少し不便なところにあることが多い気がします。)
現地確認も行う場合 | 保健所立入検査 | 体験談
一方、現地で行う場合は
- 書類確認
- 現場確認
の両方を行います。
担当の検査員が3〜4名程度で来館し、二手に分かれて同時で行うこともあります。
こちらも最低でも2名、できれば3名以上で対応できると安心です。
現地確認で見ること | 保健所立入検査 | 体験談
検査を現地で行う場合も、上記の書類の準備をします。
上記の書類を日頃からビルに保管している場合は楽ですが、
- 書類を対象のビルと違う場所に保管している場合
- 管理会社からの提出が漏れている場合
- そもそも書類が見当たらない場合
上記のように、書類を揃えるのに一苦労する場合もあります。
書類が足りない場合は検査ができませんので、事前に確認しておきましょう。
水質検査など、半年に1度のものは報告者が見当たらなかったりしますね。
また、書類確認と合わせて物件内を見て周りますが、屋上から地下まで一通り見ます。
基本的には建物内の全てが対象ですが時間の都合もあるので、当日、どこを見てまわるかはその日の査察担当者に聞いて従うようにしましょう。
屋上や地下のポンプ室など、普段鍵がかかっている場所を確認します。現地をよく知っている人が行かないと鍵の場所がわからなくてあたふたすることもあります。
また、テナントがが入居している場合はテナント内にも立ち入ります。
特に、グリストラップが設置されている飲食店が入居している場合は、そこを重点的に見られます。
テナントの専有部で確認する項目としては、
- 空気環境測定(主に湿度)
- グリストラップ清掃記録簿
- グリストラップ清掃状況
これらの項目を確認します。
保健所の査察日程が決まった時には、事前にテナントにも周知しておきましょう!
よくある指摘 | 保健所立入検査 | 体験談
続いて、査察の時によくある指摘をまとめていきます。
排水口空間 | よくある指摘 | 保健所立入検査 | 体験談
受水槽からの排水管などの途中に設けてある空間のことです。排水管の汚水が逆流して、受水槽内に流入してしまうことを防ぐ役割があります。
合わせて、虫が入らなくするための防虫ネットも破れていることがあるので合わせて確認しておきましょう。
冬期は湿度 | よくある指摘 | 保健所立入検査 | 体験談
現地確認では、空気環境測定もその場で行います。
その中で一番指摘を受けることが多いのが『湿度』です。
建築物環境衛生管理基準によると、湿度は40%以上70%以下と定められていますが、冬期だとこの基準を満たすことは難しいです。
グリストラップ清掃記録 | よくある指摘 | 保健所立入検査 | 体験談
飲食店など、厨房を備えている場合はグリストラップの清掃状況も確認の対象です。
グリストラップの清掃記録がきちんと残っているかも確認されますので、店舗の方に準備をお願いしておきましょう。
保健所の査察は飲食店のピークを避けて午前中か、夕方あたりに調整してもらうことが多いと思います。
査察の時はアルバイトの方しかおらず、『店長に聞かないとわかりません。。』との回答をもらうことも多かったです。
終わりに | よくある指摘 | 保健所立入検査 | 体験談
今回は保健所の立ち入り検査についてまとめました。
実は、以前に私が管理していたビルは保健所のご近所ということもあり、毎年必ず決まった時期に入られていました。
ただ、指摘をされてしまったとしてもきちんと対応していけば大きな罰則を受けることもありません。
わからないことは『わかりません。教えてください』と聞けば、保健所の方は親切に教えてくれます。誠意を持って対応するようにしましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
私自身、ビル管理会社に10年以上勤めて保健所の立入検査も何度も対応しています。その中の経験からまとめました!