この記事を読んで欲しい人 | リーシングマネジメント | ビルオーナー
この記事は
- ビルの空室は大口テナントで一括に借りてもらえれば一番いいよね!
- 規模の小さいテナントをたくさん入れるのとどっちがいいの?
- 空室を抱えているけど、何も考えずに募集すればいいのかな?
- ビルなどにテナントさんを誘致するときに注意することが知りたい!
上記ような考えをお持ちの方に向けて書いています。
もくじ | リーシングマネジメント | ビルオーナー
ビルの中で複数の区画が空いている状態で、
- 大規模テナントを一気に入れた場合
- 小規模テナントで徐々に決めていく
それぞれのメリット、デメリットなどをまとめました。
大規模テナントで埋める影響 | リーシングマネジメント | ビルオーナー
まずは、大規模テナントにより一気に空室を埋める場合です。
不動産仲介業者は決めてなんぼ、仲介手数料で儲けています。
多少賃料を下げてでも、大口テナントで一気に制約する案件を持ってきたがりますが、入居後の管理はビル側が行います。長期的な目線でさまざまな想定をしておく必要があります!
一気に埋まる | リーシングマネジメント | ビルオーナー
大規模テナントで広く借りてもらうということは、当然、空室が一気に埋まります。
ビルオーナーとしては空室が一番怖いですし、心配のタネです。
それが一気に埋まるということはもちろんありがたいことです。
「満室稼働」これは非常にありがたい状態です。当然、全てのビルオーナーの理想であり目標なのは間違いありません。
入居後の管理は楽 | リーシングマネジメント | ビルオーナー
入居前から入居後までの一連の手続きとして、
- 入居前説明
- 契約
- 入居後の行政関係届出
- 各種点検など
上記をビル側で行いますが、テナント一社当たりの規模が大きくても小さくても手間はほぼ変わりません)
むしろ、全ての個室に入室が必要な点検でも、大規模テナントの場合は入居テナントの窓口の方に伝えれば良いので、複数のテナント窓口に連絡しなくて済むので助かります。
行政への届出は、面積にかかわらず1社ごとの手間は変わりません。
大規模テナントで埋めると、管理は楽です。
ビルのイメージに直結することも | リーシングマネジメント | ビルオーナー
一般の来館者やビルの利用者はビルの名前より、『△△株式会社が入っているビル!』と、入居企業でビルを認識することが多いです。
大規模テナントが入居することで、ビル全体もそのテナントのイメージに左右されることがあることは意識しておくといいと思います。
お客様から電話でビルまでの道案内をする際も、「〇〇(企業名)の入っているビルです」と伝えた方がわかりやすいです。
社会的にいいイメージの企業を入居させるに越したことはありませんよね。
業績の影響を受ける | リーシングマネジメント | ビルオーナー
大規模テナントと契約すると、当然多額の賃料が入ってくることになります。
このことは大変ありがたいことですが、ビル全体の中での1社あたりの比率が高くなることはリスクでもあります。
もしその1社が経営不振などで賃料が払えなくなった場合、ビル側への影響も非常に大きくなってしまいます。
極端な例ですが、ビル全体を1社に丸ごと賃貸していた場合、その1社が倒産してしまうとビル全体の収入もすぐに0円に…
空室面積が広すぎると仲介業者さんに募集をかけても、埋まるまでの時間もかかります。
賃料交渉で不利なことも | リーシングマネジメント | ビルオーナー
賃貸借契約の条項次第ですが、入居してからも賃料の交渉などを行う場合があります。
- 賃貸借契約の満了のタイミング
- 業績不振などの影響
最近では新型コロナウイルスの影響で業績不振になる企業が多く出たことや、国や地方自治体からも家賃の支援給付金などの支給もありました。
そういったタイミングで、家賃を減額して欲しいとの交渉を行います。
その場合に、大規模テナントだとテナント側から強気に交渉してくるケースがあります。
- 大口テナントなので、大切に対応しないといけない。
- 単価を100円下げただけでも、面積が広いと賃料総額は莫大な金額になる。
- 万が一交渉が不調に終わり、退去されると大変なことに。
こういった理由でビル側としても少し弱気になってしまうことが多いと思います。
これだけでなく、大規模テナントさんは入居中の対応も神経質になります。
1社丸ごと貸していたこともありましたが、超VIP扱いでした・・・
小規模テナントを入れる場合 | リーシングマネジメント | ビルオーナー
続いて、小規模テナントを複数入居させていくケースについても説明します。
リスクヘッジになる | リーシングマネジメント | ビルオーナー
先程と逆になりますが、複数のテナントを入れておくことで、仮にそのうちの1社が倒産などで賃料を払えなくなってもビル全体への影響は小さく留める事ができます。
理想ですが、複数企業を入居させる場合はその会社の業界についても分散できるとなおいいと思います。
投資の格言で、「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があります。
万が一の時の損害を最小限にするため、分散は大切です。
伸びしろがある | リーシングマネジメント | ビルオーナー
小規模テナントを入れると、業績好調・事業拡大のためにビル内で増床してもらえる事があります。
- 大規模なパソコンのサーバーを設置しており移動できない
- 内装を作り込んでしまったため解体は勿体無い
- 大規模な移転費用の出費は抑えたい
- 退去してしまうと原状回復費用もかかってしまう。
などの理由から、事務所を拡張する場合はまずは同じビルの中での増床を検討します。
後々に会社が大きくなっていくことでビルに根付いてもらうと、長期間に渡って入居してもらえる確率も上がります。
段々と会社が大きくなり人も増えて賃貸面積も広くなっていくのを見ると、感慨深いものがありますよ!
賃料交渉しやすい | リーシングマネジメント | ビルオーナー
先程の大口テナントとの交渉の反対ですが、小規模テナントの方が賃料交渉については比較的自由度が高いです。
- ビル全体への影響は(大規模と比べて)大きくない
- 万が一交渉不調で退去しても、募集しやすい。
もちろん超強気に、なんとしても増額だ!とは言いませんが、大規模と比較して上記のメリットがあることは認識しておいていいと思います。
もちろん、その時の社会情勢や不動産市況次第ですので一概には言えません。。
管理の手間 | リーシングマネジメント | ビルオーナー
もちろん、いい点ばかりではありません。先程の大規模テナントの際に少し触れましたが、入居前からの手続きについては大規模であろうと小規模であろうと1社あたりの手間なので、小規模テナントを複数入れると、その分手間も増えます。
また、個人的感覚ですが大規模テナントの方が総務部がしっかりしているため消防関連などの行政手続きに対しての対応がいいと思います。
小規模テナントは本業の方に人員を割いているので納得できますね。
消防、税務署、その他役所などの対応も大変なので、ビル側でサポートしていくことも多いと思います。
終わりに | リーシングマネジメント | ビルオーナー
今回は、大規模テナントを入れる場合と、小規模テナントを入れる場合の比較についてまとめました。
一度、東京都内で一棟丸々1社に貸していたビルの管理をしていた事がありましたが、業績不振で一気に半分になり、大変な目に遭いました。
個人的には、大規模も小規模もバランスよく入居してもらい、可能な限り分散してテナントを決められれば、それが一番であると思っています。
もちろん、お客さんあっての契約ですし、実際には選べるものではありません。
ただ、入居後に長く付き合って行くのはビル側です。仲介業者ではありません。
認識として、持っておくことに越したことはないと考えています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
筆者はビルのオーナー側として、リーシングとその後の管理まで一括して担当しています。
実務の中で、実感したことを中心にまとめます。