民法改正 | 売買契約 | 2020年の大幅な改正点について解説 | 売って終わりではないので注意!

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この記事を読んでほしい人 | 民法改正 | 売買契約

この記事は、

  • 民法が改正する事は知っているが、具体的な内容が知りたい
  • 民法の改正によってこれから交わす売買契約にどんな影響がでるかが知りたい
  • 契約書についてどんな変更をすればいいかが知りたい
ほぞ

弁護士先生などとの打ち合わせを重ねて、会社で使用する契約書の改正を行いました。その経験からまとめました。

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ほぞ

今回は、「売買契約」についてです!賃貸借契約とは区別してお話ししていきます。

売買契約に関する民法改正 | 民法改正 | 売買契約

 一部メディアでは120年ぶりともいわれる大改正です。改正箇所については多数あります。

 なお、契約形態として今回は

  • 売買の基本契約
  • 不動産売買契約
  • 債権譲渡契約

などを想定してまとめています。

主な改正ポイント | 民法改正 | 売買契約

チェックリスト
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それでは、主な改正点についてまとめていきます!今お使いの契約書は大丈夫ですか!?

隠れた瑕疵から契約不適合へ変更 | 民法改正 | 売買契約

 旧法では、売買の対象となる目的物に隠れた瑕疵(=欠陥)があったことにより買主が損害を受けた場合は、売主に担保責任が発生しました。

 一方で新法では、売買の目的物の種類や品質、数量に関して契約内容と適合しない場合に担保責任が発生するようになりました。

担保責任ルールの拡大、一本化 | 民法改正 | 売買契約

旧法では、例えば物の売買契約の際、相手の過失により担保責任を求めるときは

  1. 損害賠償請求
  2. (その過失により契約目的が不達成の場合)契約の解除

を求めることができ、その請求期間はその事実を知ったときから1年以内に請求が可能でした。

一方新法では、 

相手に担保責任を求める時は

  1. 追完請求(足りない分の代替えや補完など)
  2. 代金の減額請求
  3. 損害賠償請求

を求めることができます。または契約の解除も可能な場合があります。

なお、その期間請求は不適合を知ったときから1年に変更になりました。

各種判断材料の明示 | 民法改正 | 売買契約

旧法では、

  • 帰責事由の有無
  • 不履行が軽微か否か
  • 履行不能か否か
  • 善管注意義務の程度

 上記に関しての判断基準について、民法に明記がされていませんでした。(条文ではなく裁判所の判断や、反例を参考にしていました)

新法では

これらの判断に関して契約及び取引上の社会通念に照らして判断することになりました。

軽微な債務不履行は解除不可 | 民法改正 | 売買契約

旧法では、

相手方に不履行があったとしても、

  • 数量的にわずかな不足
  • 付随的な債務の不履行に過ぎない

これらの場合は解除ができませんでした。(根拠は昭和36年の最高裁判所判例など)

新法では、

不履行部分が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微か否かで判断することになります。

債務者の帰責事由がなくても解除可能に | 民法改正 | 売買契約

解除

旧法では、売買契約などを解除するためには、

  1. 債務の履行がないこと
  2. 相当の期間を定めた催告
  3. 債務者に帰責事由があること

上記の①〜③が必要でした。

一方新法では、①、②の条件のみとなり、③の帰責事由は不要になりました。

無催告解除の明文化 | 民法改正 | 売買契約

旧法では、無催告解除(催告なく、突然解除できる)の条件として

  1. 定期行為
  2. 履行不能 

の場合に無催告解除が可能と明文化されておりました。

一方、新法では上記の①・②に加えて、

  • 履行拒絶
  • 履行不能・拒絶かつ目的不達成
  • 催告しても明らかに履行見込みなし 

上記の場合に無催告解除が可能と明文化されました。

債権者主義規定の削除 | 民法改正 | 売買契約

債権者主義とは…例えば不動産の売買契約が成立した場合、契約成立後から引き渡しまでの間に地震などの災害で消滅した場合でも、買主の支払義務が残ってしまうこと。

旧法では、この条文が非常に不公平なため、解釈や特約で制限していました。

新法では、債権者主義の規定は削除されました。

到達主義の採用 | 民法改正 | 売買契約

到着

旧法では、注文書を郵送でやり取りする場合、買主から注文書を郵送し、売主が注文請書などを郵送で返却する際、その注文請書などの発送時に契約が成立したものとみなしていました。(買主に到達前に成立している)

一方、新法ではその請書などが売主から発送され、買主に到達した際に成立したとみなします。

不動産売買の賃貸人の地位の留保 | 民法改正 | 売買契約

これまでは明文化はされておらず、判例にて運用していました。

テナントが入居している不動産を売買したとき、買主は登記をすることですでに入居しているテナントに対して賃貸借契約が移動したと主張することができます。

新法では、これらが明文化されました。

法定利率が変動利率へ | 民法改正 | 売買契約

変動

旧法では、遅延損害金などの法定利率は年5分の固定金利でした

新法では当初3%、その後3年ごとに変動へ変更となりました。

払い込みによる弁済ルール | 民法改正 | 売買契約

旧法では、明文化はされていませんでした。

新法においては、弁済の際に銀行振込とする場合、債権者が債務者に対して払い戻し請求権を取得した時に弁済の効力が発生すると明文化されました。

到達疑義ルールの明文化 | 民法改正 | 売買契約

旧法では明文化はされておらず、判例にて規定されていました。

新法では、到達疑義に関するこの判例法規を明文化しました。例えば、一方が内容証明郵便を郵送しましたが、受け取る側が受け取りを拒否した場合、通常に到達すべき時に到達したものとみなす扱いとなります。

経過措置 | 民法改正 | 売買契約

具体的にいつから有効かについてですが、原則は施行日以降に締結された契約から有効となっております。

終わりに | 民法改正 | 売買契約

項目は多くなってしまいましたが、今回のメインの改正点について幅広く触れていきました。

今お仕事でお使いの売買契約書がきちんと対応しているか、一度確認しておくと安心かと思います!

ほぞ

なお、ケースバイケースですので、参考までに。詳しくは弁護士先生などにお問い合わせください!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!