民法改正 | 保証契約 | 2020年の大幅な改正ポイントについて解説 | 保証人無効になってしまうケースも

民法改正 保証契約の注意点

この記事を読んでほしい人 | 民法改正 | 保証契約

この記事は、

  • 民法が改正する事は知っているが、具体的な内容が知りたい
  • 民法の改正によってこれから交わす保証契約にどんな影響がでるかが知りたい
  • 契約書についてどんな変更をすればいいかが知りたい

このような方向けに書いています。 

この記事の内容 | 民法改正 | 保証契約

ほぞ

今回は、「保証契約」に関連するものをメインにまとめました。賃貸借契約の中の保証人についても一部関連するのでぜひご覧ください。

保証契約に関するもの | 民法改正 | 保証契約

2020年の民放改正は、一部メディアによると120年ぶりともいわれる大改正です。改正箇所については多数ありますが、今回は保証契約に絞ってまとめていきます。

主な改正ポイント | 民法改正 | 保証契約

チェックリスト
ほぞ

それでは、保証契約に関する主な改正点について、順にまとめていきます。

今お使いの契約書が問題ないかどうか、確認しながらお読み下さい!

一部保証契約に公正証書が必要に | 民法改正 | 保証契約

旧法では、保証契約の締結のためには

  • 書面が必要
  • 貸金などの根保証は一定の定めが必要

などのルールがあっただけでした。

根保証とは 将来的・継続的に発生する債務についての保証であり、金額の限度や期限が定められないこともあるので、通常の1回限りの取引についての債務の保証とは異なり、保証人が思わぬ負担を負う可能性のあるもの。

ほぞ

ただし、実際には個人での保証人契約時は極度額を設けて契約することがほとんどです。

一方、新法では、次のケースにおいては公正証書での契約締結が必要となりました。

  • 保証契約…主たる債務が事業のために負担した貸金等の債務
  • 根保証契約…主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等の債務

この2点のケースで公正証書で作成しなかった場合は契約が無効となりますのでご注意ください。

一部例外

保証人が

  • 法人であること
  • 債務者が法人である場合のその取締役等
  • 債務者が法人である場合の、議決権50%超を保有する個人
  • 債務者が個人である場合の、共同して事業を行うもの
  • 債務者が個人である場合、配偶者

この場合は公正証書不要です

個人根保証に極度額が必要に | 民法改正 | 保証契約

お金

旧法では、個人の根保証に極度額の記載は不要でした。(例外的に、契約者によるローン債務の根保証については必要がありましたが。)

一方、新法では個人根保証に極度額の設定が必要になりました。

極度額を公正証書等の書面等で定めないと、根保証の契約は無効になるので注意しましょう。

ほぞ

上記に該当してくる可能性のある契約として、

  • 経営者による取引時の根保証
  • 賃貸借契約上の個人による根保証

などが考えられます。

連帯保証の相対的効力の拡大 | 民法改正 | 保証契約

旧法では、

  1. 主債務者 と
  2. 連帯保証人

がいるケースの場合、

債権者が②の連帯保証人に履行請求をした場合は、①の主債務者の債務の時効は同様に中断しました。

新法では、

②の連帯保証人に履行請求をした場合でも①の主債務者の時効は中断しないこととなりました。

保証人による主債務者の抗弁主張 | 民法改正 | 保証契約

抗弁

旧法では、

債権者が①主債務者ではなく②連帯保証人に請求した場合、②の連帯保証人は①が債権者に対して相殺権を有している場合、債権者に対抗できる。としていました。

ほぞ

上記以外での主張については明文はありませんでした。

(法解釈上はできたようですが…)

一方の新法では、

②連帯保証人は、①主債務者が有している主張できる抗弁権をもって、債権者に対抗できることとなりました。

抗弁の一例と意味の簡単解説

相殺…お互いに債権を持ち合っている場合にそれらで消しあうこと

取消…契約自体を取り消す、なかったことにすること(過去に遡ってなかったことにする)

解除…契約を終了する。解除時点から将来に向かって終了

保証人に対する情報提供義務(1) | 民法改正 | 保証契約

旧法では、特に明文のない項目でした。

新法では、主債務者が連帯保証人に対して情報提供の義務を負います。

提供する情報の内容としては、

  • 財政や収支の状況
  • 他に有する債務の有無や金額、返済状況
  • 担保に入れるものに関しての内容、状況

なお、これらに違反した場合、債権者の悪意または重過失がある場合は保証契約を取り消すことができます

保証人に対する情報提供義務(2) | 民法改正 | 保証契約

前の項目と同様に、債権者も、連帯保証人に対して情報提供義務があります。(旧法では、もちろん明文化はされていません)

新法では、債権者も連帯保証人に対して情報提供の義務を負います。

提供する情報の概要は、

  • 主債務者の履行状況
  • 主債務者の期限の利益喪失情報

債務者だけではなく、債権者も同様に義務を負いますので注意が必要です。

経過措置 | 民法改正 | 保証契約

具体的にいつから有効かについてですが、原則は施行日以降に締結された契約から有効となっております。

ただし、賃貸借契約に伴って締結される保証契約は、賃貸借契約が施行日以降に更新されても保証契約まで新たに締結されたとみなされないケースもあります。(旧法適用)

終わりに | 民法改正 | 保証契約

ほぞ

今回は保証契約にフォーカスしてお話ししました。なお、ケースバイケースですので参考程度に取り扱いください。詳しくは弁護士先生などにお問い合わせください!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!