この記事を読んで欲しい人 | 原状回復 | 入居者負担
この記事は、
- アパート退去時の原状回復工事について知りたい
- ガイドラインを読んだけど、長すぎてわからない
- 退去立会があるんだけど、ぼったくられないか不安
このような方向けに書いています。
もくじ | 原状回復 | 入居者負担
退去時のトラブルで一番多いのが原状回復工事に関連することです。
しっかり知識を得て、トラブルなく引越しができればいいですね!
国土交通省住宅局から発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が一つの指標になっています。ただ、全部で170ページ、130,000文字超えの超大作なので、わかりやすく要点のみ抜粋しました。
備考 国土交通省HP
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html
原状回復とは | 原状回復 | 入居者負担
原状回復の言葉そのままの意味だと、
原状=住みはじめたときの状態
回復=戻す
となります。
一方、ガイドライン上の認識では建物の価値は人が住んでいても住んでいなくても時間の経過とともに減少していくものと考えています。
この前提に基づく考え方なので、原状回復=住みはじめた時の状態に戻すことではないと捉えています。
ガイドラインでは、原状回復について
「居住者の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、居住者の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下、「損耗等」という。)を復旧すること」と記述されています。
民間賃貸住宅の賃貸借契約については「契約自由の原則」が優先されるので、法律に抵触しない限り、個別の契約書が優先されます。(2020年4月の民法改正も同様)
ガイドラインは一般的な基準を記した参考資料です。
負担区分 | 原状回復 | 入居者負担
ガイドラインでは、建物の損耗等を建物価値の減少と位置付けて、理解しやすいように次の3つに区分しています。
- 建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)
- 居住者の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)
- 居住者の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等(特別損耗)
ガイドラインでは、③のみを居住者負担とし、①②を大家さん負担としています。
居住者の負担について | 原状回復 | 入居者負担
上記の③、入居者負担である特別損耗について解説していきます。
上記の考え方を元に、引っ越しの際に居住者が負担すべき項目としては
- 居住者の使い方次第で発生したりしなかったりする物
- 明らかに通常の使用による結果とはいえないもの
となっています。
少しわかりにくいと思いますので、次からは具体例を挙げていきます!
具体例 | 原状回復 | 入居者負担
具体例を上げながら、簡単に解説をつけていきます。
引っ越し作業で生じた傷 | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
ケースバイケースですが、居住者の善管注意義務違反に該当する場合が多いです。
居住者の不注意で雨が吹き込んだことによる畳、フローリングの色落ち | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
自然の日焼けであれば大家さん負担ですが、不注意ですと居住者負担になります。
落書き | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
落書きは故意(わざと)と見なされることが多いです。
たばこ等のヤニ・臭い | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
壁、天井などがたばこのヤニで変色したり、臭いがついた場合は通常の使用を超えると判断されるケースが多です。
賃貸物件で喫煙がそもそも禁止されている場合もあるので注意しましょう!
壁などへのクギ穴、ねじ穴 | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
がびょうや、ポスターを止めるピンなどと区別してください!
釘やネジは穴が比較的大きいので居住者負担になることが多いです。
家具などの転倒防止措置をする場合は注意しましょう。
台所の油汚れ | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
手入れが悪く、スス、油汚れが付着している場合は通常の使用を超えると判断されるケースが多いです。
通常の清掃は、居住者の責任でしっかり行うことが大切です。
エアコンからの水漏れによる腐食 | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
エアコンからの水漏れを放置したり、手入れを怠ったりした場合は居住者の責任になる場合もあります。
天井に直接つけた照明器具の跡 | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
予め設置された照明器具用のコンセントに合わず、シーリングライトなどを設置し、天井に跡をつけてしまった場合は居住者負担となるケースがあります。
今はほとんどが天井のコンセントは照明器具用のシーリングコンセントなので、事例としては減っていると思います。
ペットの傷 | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
ペットによる柱、壁への傷。排泄物による臭いなどは居住者の負担になるケースが多いです。
ペット不可の物件で飼っているとしたら言語道断ですが、ペット可の物件では契約書をよく確認しましょう。
風呂、トイレ等の水垢、カビ | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
使用期間中に清掃、手入れを怠った結果、汚損が発生した場合は居住者の負担となる可能性があります。
鍵の紛失 | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
鍵の紛失や不適切な使用による破損は居住者負担のケースが多いです。
庭に生い茂った雑草 | 具体例 | 原状回復 | 入居者負担
適切な草取りは清掃と同様に居住者の義務とみなします。善管注意義務にあたるケースが多いです。
最後に | 原状回復 | 入居者負担
国民生活センターに寄せられた苦情・紛争相談の内、退去時のトラブル件数は年々増加傾向にあります。
本記事で上げた事例は退去時にフォーカスしてまとめましたが、実際には入居時、また入居中も適切に管理していくことが大切です。
また、費用負担が必要な項目に関しても、「減価償却」の考え方もありますので併せてお読みください。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
賃貸アパートや賃貸マンションに住んでいると、退去時の原状回復費用は気になりますよね。
今回はその原状回復費用について詳しくまとめました。