この記事を読んでほしい人 | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
この記事は
- 店舗併用物件の購入を検討しているビルオーナーの方
- 担当物件に店舗併用物件がある不動産管理会社の方
- テナントリーシングをしている不動産仲介業者の方
これらの方に向けて書いています。
私自身、アパート管理会社、ビルオーナー会社の管理担当として10年以上不動産管理に携わっています。
店舗併用物件をうまく運用してオーナーさんに喜ばれたことも、反対に苦労したこともあります。その経験からまとめたいと思います。
もくじ | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
ちなみにこの記事における建物のイメージですが、3〜4階建ての建物の1階部分に店舗が入っているイメージでお読みいただくといいと思います。
この写真はアパートではないですが、あくまでも規模感のイメージとして捉えてくださいね!
店舗併用物件のメリット | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
まずは、店舗併用物件のメリットから説明していきます!
収入増になる | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
一番わかりやすいメリットかと思いますが、店舗を入れることで収入は増えます。
建物の1階部分が通常の居住用のお部屋だと、
- 外から丸見えで敬遠される
- 防犯上面で弱い
こういった理由から1階では賃料を下げないと決まらなかったり、下げても決まらないこともあります。
その点、集客を目的とする店舗であればこれらの短所が一気にセールスポイントに変わります。
アパートでは不人気な一階を有効活用することができますね!店舗ビルでは1階が一番賃料が高いことが多いです。
便利 | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
アパート内に店舗があると何より便利です。空室への案内の時にもセールスポイントになりますし、既に入っている入居者さんの退去防止も見込めると思います。
100円ショップやドラッグストアが入っていると一人暮らしの方には特に喜ばれますね!
建物のイメージも良くなる | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
一階の店舗はそのアパート全体のイメージに直結します。周りの人からも、「あの、1階がコンビニのアパートね!」などと認知されます。
薄暗いよりは明るいイメージがつくと建物にとってもいいことばかりです。
コンビニが入っていると夜は明るくなりますね!
デメリット | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
反対にデメリットはないのですか?
もちろんありますよ。具体例を挙げながらまとめます!
変動が激しい | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
店舗は賃料が取れると触れましたが、いい時も反対に悪い時も変動が大きいです。収入が増える方に振れればいいですが、逆だと悲惨です。
実際に新型コロナウイルスの影響で経営が厳しくなってしまった店舗も多くあります。特に飲食店やカラオケボックスへの影響は甚大でした。いきなり退去ではなくても、
- 賃料の支払い免除
- 支払いの猶予
- 賃料減額
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下ではこういった相談が来たこともよくありました。
人が住んでいる住宅はすぐには退去となりませんが、店舗部分はそうは行きません。都心の駅前一等地のビルがコロナの影響で空室だらけになってしまったのは衝撃でした。
収入減になったら影響大 | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
建物は時間の経過とともに劣化します。そのため長期営繕計画表を作って収支や大規模修繕などの計画を立てます。
もちろん店舗部分の家賃がある程度入ってくることを見込んで計画表を作成しますので、もし店舗部分が退去してしまうとその影響も大きくなってしまいます。
見込んでいる収入が大きいのでその分減少幅も大きいです。その影響で建物の必要な修繕工事が先延ばしになってしまうこともあり得ます。
害虫や害獣が多くなることも | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
飲食物を扱うテナントだとネズミやゴキブリなどが増えます。これは仕方ないことなのかと思います。
建物管理をしている経験上、ネズミやゴキブリのいない飲食店舗はない!とさえ思っています。
治安の悪化になることも | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
店舗の業種によっては周辺環境の治安が悪くなってしまうこともあります。
- コンビニが夜の溜まり場に
- 居酒屋で夜騒がしい
- マンガ喫茶で利用者の質が低い
これは店舗物件の用途や、そのエリアの特性にもよりますので一概には言えません。
平日日中だけではなく、夜や休日などにも物件やその周辺の環境などを確認してみるといろいろ見えてきます。
管理上の注意点 | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
メリットやデメリットはわかりました。それでもやりたいです!管理の時に気をつけないといけないことはありますか?
わかりました!管理上の注意点もまとめますね。
管理する側にも専門知識 | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
店舗区画は、通常の居住用とは設備や内装などが根本から異なります。
- 電気などの容量が大きい
- 給水や排水も専用で引き込む
- 消防設備の整理や消防署への届出も必要
- 建築基準法の用途や届出なども確認
管理会社やオーナーさん側にもこういった専門性の高い建物を扱うための知識や経験が求められます。
店舗の区画は通常のアパートよりも桁違いに複雑です。ビルを複数所有・運営している会社によっては店舗専門のスタッフを抱えている会社もあるほどです。
契約形態も様々 | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
普通の居住用では、賃貸借契約の時に約束する条件はシンプルです。例を挙げますが
- 家賃〇〇万円
- 管理費共益費〇〇千円
- 普通賃貸借契約
ほとんどの場合、この程度の非常にシンプルなものです。普通賃貸借ですので数ヶ月前に申し出れば基本的にいつでも解約できますし、反対に何もしなければ契約は自動で更新していきます。
一方で店舗区画の契約形態は様々な種類、選択肢があります。
- 普通の建物賃貸借契約か、定期建物賃貸借契約か
- 固定賃料か売上に連動する歩合賃料か
- 内装は射抜きかスケルトンか(後程触れます!)
店舗の業種やその規模によりますが、こちらもさまざまな種類や選択肢があります。
契約の時に入居テナント側にものすごく有利な条件にしてしまい、改訂も解約もできずに苦労しているビルオーナーさんを知っています。。
契約時の条件の設定は難しいですが非常に大切です。
参考までに、定借に関する記事はこちら!
入居、退去工事に注意 | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
店舗部分の引き渡しは大きく分けて2種類あります。
- 居抜き(内装はそのまま)
- スケルトン(何もない)
居抜きの方が入居者にとっては初期費用を抑えられるメリットがありますが反対に残置された設備などのメンテナンスなどに関する取り決めを契約時にきちんと確認しておく必要があります。
退去時の原状回復についてもトラブルになりがちなので入居時に双方立会のもと、状態の確認をきちんとしておくことが大切です!
原状回復について記事はこちら
終わりに | 店舗併用物件 | メリット | デメリット
店舗併用物件について、自分の経験からまとめました!
店舗部分は賃料が高く取れたり、建物のイメージアップにつながったりといい点も多いですが、専門知識が求められたり費用が余計にかかったりと、注意すべき点もあります。
しっかりと準備してから扱うことが大切です。
店舗併用物件は100件あったら100通り。まったく同じ物件はありません。運営していくときにはそれぞれの特徴を活かしていくことが必要です。
疑問点、お困りのことなどありましたらお気軽にお問い合わせください!
店舗併用の物件は普通の居住用だけの物件と比較すると管理の難易度は上がります。ただ、うまく運用すれば収入も増えますのでこの記事を参考にしてくれると嬉しいです!