この記事を読んで欲しい人 | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
この記事は、
- オフィスビルを管理しているが、入居中のテナント経営が問題ないか気になる。
- 入居中のテナントが突然倒産したら困る!
- 会社の経営が危なくなったらどんな動きをするのか知りたい!
このような方向けに書いています。
もくじ | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
- 危険度 ★☆☆
- 危険度 ★★☆
- 危険度 ★★★
- 終わりに
オフィスビルの管理担当を10年以上担当した実体験からまとめています。
あくまでも個人の見解ですので、参考までにお取り扱いください!
駐車場や倉庫などを解約する | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
一般的なオフィスビルには事務所の貸室エリアに加えて、倉庫や駐車場などの付帯施設があり、オフィスとは別に契約しているケースが多々あります。
その倉庫や駐車場などの解約があった場合は、業績不振の可能性があるので注意が必要です。
ただ、純粋に不要になっただけだったり通常の経費削減の可能性もあります。
解約理由などを確認しておきましょう。
電気料などが減少する | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
毎月検針して請求する電気料ですが、その使用量が前年対比でどの程度変化しているかを気にしておくと、テナントの業績兆候を察することができます。
例えば、売り上げが少ない場合は当然に業務量も減っていくので、電気の使用量も減ったりします。
テレワークを取り入れて、ビルに勤務する社員数が減ったなーと思っていたら突然にオフィスの解約通知がきたこともあります。。
電気の使用量は日常からいいバロメータになると思います。それぞれのテナントがどのくらいビルを利用しているか、すぐに反映されるためです。
なお、ここまでの2点は経費の削減やオフィスとしての使用形態にも影響を受けるのでそこまで大きな兆候ではありません。
本番はここからです。次に挙げる兆候が出てきたら黄色信号です!
社員が辞める | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
- いつも担当している社員さんが辞めた
- いつも電話に出てくれる事務員の方を最近見ない・・・
- 役員さんに大幅な入れ替えがあった
などは黄色信号だと思います。
業績不振などは決算で公になる前に、実際に働いている社員さんが肌で感じています。
社員さんの覇気がなかったり、退職をし出したら注意です。
体感としては、若い社員さんから辞めていく印象があります。
家賃等の支払いが遅れる | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
ここまでくるとかなり深刻です。遅れた賃料については分割でも支払ってもらったり、業績などについての情報収集を始めましょう。
ここまでくるとビル側でも万が一のことを想定して準備する段階です。退去した時の原状回復費用の見積もりも取り寄せておくといいと思います。
敷金をいくら預かっているかも確認しておきましょう。
ビル内に空きがあれば少し小さい区画に移ってもらい、毎月の家賃を減らす提案も有効です。
貸室の部分解約 | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
オフィスを広く借りている場合、部分的な返却についての相談をうける段階です。
家賃の負担額を減らすことも大きな目的ですが、床を少なくすることでビル側に預けている敷金の返却を受けることを目的にしている場合もあります。
貸室の返却の条件の中に、『敷金の額はそのまま』と交渉したことがあります。断られることがほとんどですが。
賃料などの減額要請を受ける | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
先方から、家賃安くしてもらえませんか?と相談が出てくることもあります。実際には、上記の『貸室の部分返却』とセットで交渉される場合も多いです。
賃料を下げてさらに貸室の部分解約も受け付けてしまうとビルとして収入が激減しますので、解約についての時期を協力(6ヶ月などの通知期間の短縮など)をするので、賃料はそのままなどの条件でまとまれば良いですね。
ビルの経営方針としては区画を早めに返却してもらい、次の入居者を募集するのも手です(不動産市況が動いていればですが…)
継続への疑義 | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
テナントの決算書類に「継続企業の前提に関する注記」 が付記されることがあります。
これは、会社は本来将来にわたって継続していく前提のもとに運営していきますが、赤字や売り上げの減少などにより事業の継続に問題が生じた場合、財務諸表などに注記することが義務付けられているものです。
株主さんなどに開示する決算書ですから、会社側は意地でもこの一文を入れないために資金をかき集めたり、融資先を回ったりするはずです。
それでも付記されてしまうということは、かなり危険と言うことです。。
敷金への質権設定 | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
テナントが銀行から融資を受ける際に、敷金を担保に入れることを求められることがあります。
実際には敷金の返還請求権に質権を設定することになりますが、いずれにせよ業績はかなり良くないのは間違いありません。
敷金は、賃料の未納や退去時の原状回復工事のための担保です。
先方からの申し出に対応するかどうかは慎重に協議する必要があります。
決算期をずらす | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
これはもう最終手段です。
通常は1年(=12ヶ月)を各企業で決めている決算月で締めて、1年間の決算報告をしています。日本では3月に決算をする会社が大多数かと思います。
一方、決算期をずらすことでそのずらした期のみ、12ヶ月以上の期間についての決算とすることで、短期的に年商がおおきくなるなど決算の見栄えを良くする効果があります。
ただ、その翌期はもちろん12ヶ月ですし、本当に最後の手段という印象です。
もちろん、決算期をずらした後で業績回復した企業も知っていますが、その割合は低い気がします。
終わりに | 入居テナント | 民事再生 | 兆候
ビルを経営しているものにとって、入居企業の業績不振は死活問題です。
民事再生などに当たってしまうとものすごい時間と労力を必要としますし、入ってくるはずの収入がなくなると、金額によってはビルそのものの経営にも直結します。
トラブルが表面化する前に兆候をしっかりと捉えて、準備しておけるといいですね。最後までお読みいただきましてありがとうございました!
担当していたビルで入居テナントが民事再生した対応した経験があります。
今思い返すとさまざまな兆候が・・・事前にその兆候を見逃さないようにしましょう。