この記事を読んで欲しい人 | テナント | 民事再生
この記事は、
- 入居しているテナントの業績が怪しい・・・
- 入居テナントが民事再生した!どうしよう
- 民事再生した場合、気をつけることは?
このような疑問や、不安を解消するために書きました。
もくじ | テナント | 民事再生
民事再生手続き=即倒産 ではありません!
今回はビルのオーナーや管理会社側の立場から、入居テナントが民事再生手続をとった場合の注意点などについて触れて行きます。
本記事は対応の一部です。詳しくはこちら側の弁護士先生と相談のうえ、慎重に進めましょう。
民事再生手続きとは | テナント | 民事再生
民事再生とは、業績悪化により会社の存続が危うくなった時に、裁判所の関与の下会社の存続を図る手続きのことです。
「裁判所から、〇〇月△△日□□時、民事再生手続きの開始決定がなされました。」という形で第一報が入ってくるケースが多いです。
ほとんどの場合はテナントから事前に連絡はなく、報道やテナントのHP上で突然耳にすることが多い印象です。
民事再生の大まかな流れとしては
- 民事再生手続開始決定(同時に管財人の選任)
- スポンサーの決定
- 再生計画の作成
- 再生計画の審議・承認
- 再生計画に基づいて未払金などの支払い
このようになります。
上記は一例であり、会社の規模などで異なります。詳しくは弁護士、税理士の先生とも相談しながら進めて行くことが必要です。
契約書の確認 | テナント | 民事再生
ビル側の準備としてまずやることは、テナントとの賃貸借契約書の確認です。
民事再生時の対応について多くの場合は、契約書の中の「契約の解除」条項に含まれているはずです。
賃借人が次に該当する場合には、賃貸人は催告なしに本契約を解除することができるものとする。
一、賃料、共益費またはその他諸費用を支払わなかったとき
二、解散、破産、民事再生手続を開始したとき
(一例)ほぞの会社で使用している契約書より抜粋
催告なくとは、「突然」に一方的に解除できることです。
ただ、解除しなければならないわけではなく、あくまでも「解除できる」だけなので、実務としてはテナント側と協議していくことになります。
同時進行でテナントから預かっている敷金の額を確認します。
基本的には賃料などは敷金から相殺することができますが、民事再生手続きに入った場合は全額をすぐに相殺できるわけではありません。
これについては順を追って説明して行きます。
管財人とは | テナント | 民事再生
裁判所から指名を受けて、民事再生手続きをした会社の調査や、監督をする立場の人のことです。
ビル側とテナントの窓口になることも多いです。主に弁護士先生が選任されます。
再生手続きに入った時点で、会社の意思決定は管財人を経由することになります。社長といえど、代表者印を押すこともできなくなります。
再生債権とは | テナント | 民事再生
民事再生手続の開始決定がなされた場合、開始決定日の前に発生した債務は再生債権となり、民事再生したテナントと言えど、勝手に支払うことができなくなります。
例えば、6月30日付で民事再生手続きが開始された場合、
- 6月30日までの賃料
- 6月30日までに発生した水道光熱費
これらは再生債権となり、後から出てくる再生計画の中で、支払いの予定が決まります。しばらくは入金がないものと考えましょう。
例えば、6月1日〜30日までの水光熱費は検針結果を集計し、請求書を発行するのは7月に入りますが、それでも再生債権です。
請求書の発行日付ではありませんので、注意が必要です。
共益債権とは | テナント | 民事再生
一方の共益債権は、再生計画の対象にならないことが一般的ですので、通常通りのスケジュールで請求書を発行し、支払ってもらいます。
先ほどの例と同様に、6月30日付で民事再生手続きが開始された場合、
- 7月1日以降の賃料
- 7月1日以降に発生した水光熱費
これらが共益債権に含まれます。
賃料などは前払いのケースも多いです。
7月分の賃料を6月末までに支払う場合、請求書は6月に発行済の場合も共益債権になります。
再生計画とは | テナント | 民事再生
先ほど説明した再生債権についての支払いを含めた今度の計画です。
テナント側が作成し、債権者の承認を得た上で正式に決定します。
ただし、再生債権の全額を支払う計画になっていないことがほとんどです。50%に減額して、なおかつ分割支払いなど。。。
ビル側でもすでに提示済みの請求書については、その計画に沿って入金があるので対応していきます。
おわりに | テナント | 民事再生
入居テナントで民事再生!と聞くと不必要に慌てたり、反対に多額の敷金を預かっているから大丈夫!と油断したりしがちです。
でもしっかりとスポンサーがついて、再生計画に沿って回復した企業も多いので、焦ることなくしっかりと対応して行きましょう。
ちなみに、民事再生した企業の規模によっては、マスコミ対応や、リストラされた方経由での労働組合の対応も発生することもあります。。
最後までお読みいただきましてありがとうございました!
参考までに、2019年度の倒産件数は8631件です。いつ入居テナントが民事再生するかわかりません。準備しておきましょう!