この記事を読んでほしい人 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
この記事は、
- 管理しているビルに入居申し込みをもらった!何をすればよい?
- 契約した後、入居工事から執務開始までの必要な流れを知りたい!
- 入居しているテナントさんから解約通知が出てきたときに必要なことは?
- ついつい忘れてしまう事務作業がある・・・。
こういった疑問をお持ちの方に向けて書いています。
不動産仲介業者さんやリーシング担当者など、営業で数字を追いかけることがメインの方は「申込書もらった!もう終わり!」と気が緩んでしまう方もいらっしゃると思います。
しかし、オフィスビルや商業ビルなどのテナントさんの入居においては、契約してからが始まりでそこから様々な準備が必要です。それと同様に退去時にも確認すべき項目や必要な手続きがあります。
ビルの設備や構造によっても異なります。あくまでも参考として取り扱っていただけると幸いです。
もくじ | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
この記事は個人的な備忘録としても使えるイメージでまとめました。
ご利用のビルによって異なると思いますが、基本的なものに絞ってまとめました。
皆さんの実務の中で少しでも役立つと嬉しいです!
入居時の確認項目 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
まずは入居時の確認項目についてまとめます。
契約書の捺印が終わったと仮定し、そのあとに必要なものを想定してまとめます。
是非ご自身のお仕事の流れと比較してみてくださいね!
敷金、初回家賃の入金日確認 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
ビル側としては契約書を締結しても、実際にお金が入金されなければ安心はできないと思います。
- 敷金の入金日
- 初回賃料の入金日
これらを確認し、スケジュールどおりに入金されたかを確認する必要があります。
社内の経理課など担当分署との共有も必要ですね。
特に初回賃料については「賃料は契約後速やかに支払う」となっていることも多いです。契約直後は何かと忙しくなりますので常に前倒しでスケジュール管理を徹底するようにしましょう。
敷金の入金後、敷金預かり証の発行が必要な場合は忘れないようにしましょうね。
敷金の預かり証の発行は法的には義務付けられていません。印紙も経費の為、削減目的で預かり証を発行しない大家さんもいます。
請求システムへの反映確認 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
ビルによって自動検針・請求書発行システムを使用しているところも多いかと思います。システム上でしっかりと電気メーターや水道メーターとの紐付けができているかを確認しましょう。
契約したときにきちんとメーターの設定をしておかないと、請求漏れの原因になります。
月に数万円程度の請求漏れでも、何か月も経ってしまうと大きな金額になってしまいます。
テナントさんに「実はメーターの検針が漏れていまして・・・」と説明に行くのは気が重いですよね。こうならないように入居時にしっかり確認しましょう。
警備・設備・清掃業者さんとの共有 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
入居が決まった場合は、現地に常駐している委託業者さんにも早めに情報共有する必要があります。
- 警備さん・・・巡回や引っ越し作業時の案内等
- 設備さん・・・照明、空調運転スケジュール、管球交換等の問い合わせがあることも
- 清掃さん・・・専有部清掃を受託する場合も。共用部清掃への影響も
警備・設備・清掃さんが常駐している場合ですが、今まで空室だったところに新規で入居者さんが入居することで、上記の業務が増えることが想定されます。
賃貸借契約を締結すると、新しく入居するテナントさんは早速引越しや、内装工事の準備に着手します。
特に内装業者さんの下見についてはどんどん入ってくるかと思いますので、防災センターに問い合わせが入った時にきちんと情報共有されていないと、クレームなどに繋がってしまいます。
常日頃から、委託業者さんとの連携はきちんと取っておきましょう!
入居時点の内装の確認 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
将来的にビルから退去する場合、原状回復工事が必要になります。読んで字のごとく契約開始時点の状態を「原状」とすることが一般的です。
契約開始時点の状況に関して、できれば写真付きの資料を作成して貸主借主双方で確認して残しておきましょう。
契約と同時に大規模な内装工事を実施する場合、きちんと「原状」について双方で合意しておかないとトラブルの元になりかねません。。
原状回復についての記事はこちら!
入居後の館内規則などの説明 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
ビル毎の取扱説明書や館内ルールについても早めに周知しておく必要があります。
契約までの窓口は社長さんや役員の方であることがほとんどですが、実際にビルに常駐し日々の問い合わせをしてくるのは別の社員の方であることも多いです。
実際に日常的にビルをご利用になる方や、日々の問い合わせ窓口の方に向けてきちんと説明する場を設けておくことが大切です。
少し手間はかかるかもしれませんが、初めにきちんと説明しておくと、入居してからのクレーム防止などに繋がります!
入居工事の共有 | ビル | 入居 | 退去 | チェックリスト
ビル側だけでなく、入居する区画のご近所区画の既存テナントさんへの周知も忘れてはいけません。簡単な内容を紹介しますと、
- 入居してくる会社の社名(公にする場合のみ)
- おおよその業種
- 入居工事予定・工程表
- 執務開始日
- 大体何名くらいが勤務予定か
開示可能な範囲で、上記の情報を共有しておくことが大切です。
特に騒音などを伴う引っ越しや内装工事などのスケジュールについては早めに共有しておくといいと思います。調整がうまくいかなくて最悪の場合は近隣テナントとのトラブルで退去してしまうこともありますよ!
消防署への届出 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
ビルの規模にもよりますが、入居テナントとの契約後に提出が必要な消防書類があります。
ビル側、テナント側双方に必要な書類は異なりますので早めに確認しておきましょう。
また、防火対象物点検、防災管理点検など別途費用がかかる点検もあります。早めに説明しておかないと、後から『聞いてない!』と言われると厄介です。。
退去時の確認項目 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
続いて、『退去時』の確認項目についても説明します!
ここから先は、入居中のテナントさんから解約通知が出てきた後の流れを想定して書いていきます!
原状復旧工事の確認 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
賃貸で入居している以上、退去時には原状回復工事が必要になります。
ただ、これから退去していくテナントさんの中には、
- 敷金で全部やってくれるんでしょ?
- 原状回復工事にお金かけたくない!
- 自分の付き合いのある業者さんで安く済ませます!
など、様々な考えをお持ちの方もいます。(上記はすべて私が言われたことのある言葉です)
契約書を元に原状回復工事についての仕様や期日、内装業者さんを交えてスケジュールや費用の確認を早めに進めておく必要があります。
賃貸アパートとオフィス・商業ビルでは根本的に異なりますので、見解の相違が無いように早めに詰めておきましょう。
一度、退去当日に引渡し確認で現地に行ったら工事も何もしておらず、「え?敷金内で工事してもらえるんじゃないですか?」と言われたこともありました。
その区画に次の入居申し込みが無かったのが幸いで、肝を冷やしたことがあります。。(超大手の企業さんです)
退去までの清算 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
退去するときには敷金などの清算が必要です。敷金の返金に関してですが、
- 未払賃料などの債務が無いこと
- 賃貸区画の引渡しが完了していること
上記2点の条件がそろってはじめて返金します。
忘れがちなのは、家賃は前払いですが電気料金などは後払いのことが多いという事です。
例えば、6月末に退去する場合は、当然ですが6月が終わらないと電気料金は確定しません。
ざっくりですがスケジュールを整理しますと、
- 6月末に解約・退去
- 原状回復工事の完了確認(6月末)
- 6月末までの電気料金確定
- 7月初旬に請求書発行
- 7月中に支払い
- 支払い確認後に敷金返金
上記の流れかと思います。
「6月末に解約するので、敷金は7月上旬に返ってきますかね~?」とラフに聞かれることもありますが、上記の流れを説明して双方でスケジュールの認識を統一しておきましょう。
敷金は家賃の数か月分と非常に高額です。退去する側からは早めに返金してほしい要望も多いと思いますので、電気料金は少額であれば敷金から相殺して返金したり、請求書を通常よりも前倒しで発行したりと、可能な範囲で協力してあげると喜ばれます。
鍵の返却 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
貸室の返却を受けるときには鍵などの取り扱いには要注意です。
シリンダーキーは貸し出しの本数と返却された本数があっているかを確認します。
シリンダーキーは複製を作成されていることもあるので鍵交換をしておくと安心です。
ICカードなどの貸出であれば、発行枚数と返却枚数があっているかも確認します。
セキュリティカードについてはPCなどから権限の変更ができると思いますので、忘れずに変更しておきましょう。
貸室だけではなく、月極駐車場(定期券など)倉庫、パイプスペース、ポストなど、貸し出している鍵などがあれば回収します。ポストの鍵などは忘れがちなので注意しましょう!
消防署への届出等の確認 | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
ビルの消防届け出の関係で、テナントの一覧を「構成員一覧」として消防署へ届け出ていることがあります。
テナントが退去した場合は防火防災管理者の解任届け出の提出が必要と言われることがありますので消防署へ確認すると安心です。
私の担当しているビルの管轄消防署では、別件で消防署へ行ったときに「○○のテナントは退去しました」と口頭で言っても処理してくれる場合もありました。
消防署の対応は管轄署や担当者によっても対応が異なることがあります。
終わりに | ビル | 入居時 | 退去時 | チェックリスト
ビルの入居時も退去時も、基本的には「契約」が基本になります。
- 契約した!今月の成績になるぞ!
- 申し込みもらった!入居率改善!
などで落ち着いてしまう気持ちもわかります。しかし契約は終わりではなくスタートです。
実際にビルを利用されるテナントさんに迷惑をかけないようにきちんと対応していきたいものですね。
あくまでも一例としてご紹介しました。
建物の規模、用途、立地などで必要な項目は異なります。
個別にご相談に乗ることもできますので、お気軽にご相談くださいね!
ビル管理歴10年以上の筆者が実務においての確認事項をまとめました。実際に実務で使用しているチェックリストを参考にしています。