この記事を読んで欲しい人 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
この記事は、
- 大規模ビルに入居することになったけど、消防関係の手続きは何がいるの?
- ビルに任せておけば何にもしなくていいの?
という方向けに、ビルの入居者が必要な消防の手続きについてまとめました。
もくじ | 入居者 | 消防届出 | 一覧
- 入居前〜入居直後の手続き
- 入居後も定期的に実施する手続き
- 届出をしない場合はどうなる?
- さいごに
大規模で、複数の企業が入居しているビルを想定しています。
詳細は管轄の消防署へ問い合わせください。
防火防災管理講習の受講 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
借りている事務所の面積に関わらず、防火防災管理者の講習が必要です。(基本的に各企業1名)
入居後は忙しくなりますので、早めに受講しておきましょう。予約で満席のこともあるので、早めに申し込む事をオススメします。
講習時間 9:00〜17:00 (2日間)
受講費用 5500円(教材費)
講習頻度 月に9回以上
受講資格 特になし
※自衛消防業務講習受講者など、一部免除要件あり
参考 東京消防庁HP
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/sk/kousyu.html
防火対象物使用開始届出の提出 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
入居するタイミングなどで、消防署へ提出が必要です。届出についてはビルオーナーではなく、入居者側で消防署へ提出する必要があります。
内装工事業者さんなどに委託する場合は、その業者さんが作成してくれることがほとんどですが、あくまでも提出の名義人(ハンコを押す人)は入居者です。書式は管轄の消防署のHPなどでダウンロードできます。
大規模のビルに少人数用の部屋を借り、デスクなどの什器、備品のみを入れて執務を開始する場合は提出を忘れがちです!
工事開始届出の提出 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
内装工事を実施する場合は、工事中の消防計画などとともに工事開始届出を消防署へ提出する必要があります。
基本的にこちらも内装業者さんが作成しますので、届出人の欄に記名、捺印をするだけでいいと思います。
内装工事の中で「非常放送」「感知器」「誘導灯」などの消防設備を増設したりする場合は消防設備等設置届も必要です。業者さんと相談しましょう。
消防計画の作成 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
入居している専有部の中に関しては入居者側で消防計画を作成して、消防署へ届出をする必要があります。
(消防計画は小規模用・中規模用・大規模用と分かれています)
書式の例は消防庁HPにあります。また、収容人数や用途などによっても異なりますので、詳しくは管轄の消防署へ確認しておくと安心です。
消防計画の作成にあたっては基本的に消防署の書式を埋めていけばすぐにできますが、
・常駐人員数×3日分の備蓄品
・帰宅困難時の時差退社計画
などは物品の手配や社員への聞き取りの必要があります。少し費用と時間がかかります。
防火管理者・防災管理者選任届出 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
入居前に受講した防火防災管理者の選任届出を消防署へ提出します。書式は消防庁のHPにあります。
- 記入と捺印済みの届出用紙
- 防火(防災)管理者手帳
これらを持って消防署へ行きましょう。手帳も忘れずに持参しましょうね。
選任した後は5年に1度、再講習に行かないと有効期限が切れてしまいます。運転免許の様にお知らせは来ませんのでご注意ください!
ここからは、入居後に定期的に必要な手続きについて説明して行きます。
消防計画の修正 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
消防「計画」というくらいですから、変更になったらその都度届出を行います。
具体的には、
- 面積を変更した場合(事務所の増床・縮小等)
- 常時勤務している人の人数が変更になった場合
- 従業員の新規採用・退職があった場合
などの場合です。上記の3点についてはそれぞれ、
- 権原の及ぶ範囲の変更(消防計画の表紙に記載)・避難経路図の変更など
- 備蓄品の個数の変更
- 自衛消防組織・時差退社計画の変更
などの手続きが必要です。
上記のケースで消防計画の一部が変更となった場合は、変更箇所のみ提出すれば大丈夫です。(消防計画丸ごと提出し直されければならない訳ではありません)
消防計画を作成するとき、役職者の個人名を入れずに職名を入れましょう。(例、〇〇担当部長・○○課長)
人事異動の際に、毎回出し直しをしなくてすみますよ!
なお、防火防災管理者が変更になった場合は、「防火防災管理者変更届出」も必要です!
点検 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
ビルに入居後も、年に1度以上点検が必要です。
- 防火対象物点検
- 防災管理点検(建物の規模による)
これらの点検が必要です。点検する主な項目としては
- 防火管理者・防災管理者がキチンと選任されているか
- 上記の有効期限が切れていないか(5年間)
- 消防計画は届出済か
- 消防計画内の自主検査チェック表(日常・定期)は適切に行われているか
- (現場を見て)背の高い什器に転倒防止措置を実施しているか
- 内装に防炎性能を有したものを使用しているか
などを点検します。
この点検は資格者で実施する必要があります。消防関係の業者さんに問い合わせるか、オーナーさんに業者さんを紹介して貰えないか相談してみましょう。
面積によりますが、50,000円〜100,000円程度でしょうか。
ビル側で実施する、「消防設備点検」「防火設備点検」とは異なります。
防火対象物点検・防災管理点検はテナント負担のケースも、共益費に含まれてオーナー負担のケースもあるのでビル側に確認しましょう。
防災訓練の実施 | 入居者 | 消防届出 | 一覧
消防計画に記載をしていると思いますが年に2回、防災訓練をする必要があります。災害の想定として、
- 地震
- 火災
- 水害
こういった災害を想定し、全館に避難放送を入れて全員で避難をしたり消火器などでの初期消火訓練をしたりします。
基本的にビル側が準備することが多いです。
日常の業務もあり忙しいかと思いますが、必ず参加しましょう。
訓練を実施した時、消防署へ自衛消防訓練通知書を提出し、実施結果記録書を保管しているはずです。ビル側で作成したものを入居者においてもおよそ3年間保管する必要があります。
ビル側に問い合わせましょう。
届出をしない場合はどうなる? | 入居者 | 消防届出 | 一覧
もし必要な届出をしない場合はどうなるでしょう。
東京消防庁管轄では、「違反建築物の公表制度」により、HP上に公表されてしまいます。
これから入居を検討する場合は、候補となる物件がそこに載っていないかも事前に確認したいですね。
東京消防庁HP「違反建築物の公表制度」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/kk/ihan/index.html
さいごに | 入居者 | 消防届出 | 一覧
大規模ビルに入居すると、何かと手続きすることが多いです。
ビル側に任せておけば安心かと思いがちですが、入居者側でも何かとやることが多いので注意です。
届出自体は非常に面倒かもしれませんが、万が一の時に命を守るための準備ですので、しっかり準備しましょう。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
総務部門の方が担当のことも多いです。大規模ビルに入居する場合は消防関係の手続きが必要です!