この記事を読んで欲しい人 | ビル | 消防査察の対応
- 消防署から査察の連絡が入った!
- 消防査察っていきなりくるの?
- 消防査察の連絡が来たけど何をすればいい?
上記の方に向けて書いています。
消防署によって査察までの流れが若干異なったり、必要な対応も異なります。この記事はあくまでも参考までにお読みください!
もくじ | ビル | 消防査察の対応
査察に関する基礎知識から、対応に関する一連の流れまでをまとめました。
詳しくは管轄する消防署とのやりとりになると思います。基礎知識としてお読みいただきますようお願いします。
本記事は一例です。管轄消防署により、手続きの流れや必要な対応などは異なります。
消防査察とは? | ビル | 消防査察の対応
そもそも消防査察とは、防火対象物の適切な維持管理が行われているかどうかを確認する、消防機関(=消防署)による検査です。
消防機関は、防火対象物の用途、規模、構造、設備、管理状況等の危険実態に応じて防火査察を実施し、指摘した法令違反が是正されない場合は、速やかに警告や命令などの違反処理を行い災害発生防止及び人命安全対策を推進し、都民の安全と安心の向上に努めています。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kikakuka/gyouseigaiyou/data/29/29_01_4_03.pdf
消防法により、ビルオーナーや関係者に対して不特定多数が出入りする用途の建築物への適切な防火管理が義務付けられています。その管理が適切に行われているかを検査する手続きです。
消防設備点検のように、「◯年に1度!」と明確に決まっているわけではありません。
数管轄消防署の管内で、ある程度選ばれて対象になります。
(用途や、建物の規模、日頃の届出状況を加味して選んでいるようです)
断れませんし逃げられないですよ!
頻度についてはまちまちです。10年程度間隔が空いたこともありましたし、4年で検査があったこともありました。
最近では、東京オリンピックなどの大規模イベントに関連する周辺施設については、イベント前に一斉に検査に入ることもあるようです。
査察の通知が来るまで | ビル | 消防査察の対応
消防査察は突然来るの?例えば今日いきなり来られたら困る・・・
そんなことはありません。日程については消防署側も事前に相談に乗ってくれますよ!
査察に入る前には、事前に消防署から打診があることがほとんどです。これまでの経験によると、まずは消防署から連絡や問い合わせが入ります。
- 消防計画の更新はかけられていますか?
- 入居テナントに変更はありませんか?
- 資格管理表の人員は最新のものになっていますか?
- 訓練の実施は問題ありませんか?
など、消防署から普段は入らないような依頼や状況の照会があります。
回答については特に大至急ではありませんが、手元にあるものから随時メールや、直接消防署へ行って提出します。
消防署から問い合わせがあると最初はビックリします。
まずは消防署に求められているものをしっかり準備・提出しましょう。
特に必要以上に焦ることはなく、適切に対応していけば問題ありません。わからなければ消防署側も丁寧に教えてくれます。
放置せずに優先度を上げて対応するようにしましょう。
査察については、その消防署とのやりとりの中で、
「実は査察に入ることになりました」と相談される事が多かったです。
私のこれまでの経験だと、査察に入る曜日や時間などもある程度相談に乗ってくれる事が多いです。
- 飲食店が多いビルであればランチタイムを避けてもらう
- テナントの業種業態によって迷惑がかかる月末や繁忙期を避ける
などの要望は伝える事ができると思います。
入居しているテナントにも周知しなければいけないので、査察の日程をなるべく先にしてお知らせする期間を確保しておくといいでしょう。
もちろん、その間に書類を整えたり、もし不備があれば再提出するなどして査察に備えましょう。
チェックする項目 | ビル | 消防査察の対応
基本的なところですが、消防査察でチェックする項目は以下の通りです。
- 消防計画の提出、変更状況
- 自衛消防訓練の実施状況
- (消防訓練記載の)日常のチェックシート
- 防火防災管理者選任状況
- 再講習の期限内か
- 自衛消防組織設置届出
- 入居テナントの変更が反映されているか
- 消防設備点検の実施状況
- 指摘が上がった場合の改修状況
- 防火対象物点検、防災管理点検の実施状況
- 避難経路の利用状況
- 転倒防止措置の実施確認
- カーペットやブラインドの防炎認定品の確認
- 入居テナントの消防書類届出状況
- 入居テナントの防火防災管理者選任状況
- 入居テナントの防火対象物点検防災管理点検実施状況
盲点なのが、防火防災管理者証の有効期限です。5年間を経過していると未選任と同じ扱いなので再度確認しましょう!
当日の流れ | ビル | 消防査察の対応
先に触れた内容に関して、書類確認と現地確認の2点を行います。
ビルが大規模な場合は、書類確認班と現地確認班の2班に分かれて同時進行にて行うこともあります。
ビル側の管理状況だけでなく、一部のテナントにも立ち入って確認します。
面積の広いテナントを案内する事が多いと思います。事前に伝えておきましょう。
ビル側だけでなく、入居テナントの消防書類などの管理体制も事前に確認しましょう。
また、原則として防火防災管理者の立ち合いが必要です
結果報告 | ビル | 消防査察の対応
査察が終わると、当日のうちに指摘事項を簡単に説明されます。
改修可能な物はどんどん処理していきましょう
当日にも簡単な書類を渡されますが、後日、正式な結果報告書も作成されます。
こちらは日時を指定されますので消防署に取りに行きます。
「指摘が2つ以上でイエローカード」と言いながら渡されたこともあります。
その時は本当に黄色い紙に印刷されてきます。恐怖でした。。
結果報告書には、2週間程度の期限を設けて「◯月◯日までに改修して報告してください」と記載があります。まずはその期日を目指して改修に取り掛かりましょう!
余談ですが、以前に入居テナントが防火対象物点検、防災管理点検を実施していなかった事がありました。指摘項目としては、それぞれ別の点検となるようで、点検未実施の場合、指摘が2つ以上のイエローカードと言われます・・
別々で実施することはほとんどない点検ですが、なんだかな〜と思いました。
なお、査察の結果報告書については入居テナント毎に発行されます。テナントで作成する消防計画などの書類に不備があった場合はテナントに対して指摘が出るので、テナントさんとも協力して早めに対応する必要があります。
指摘を無視したら | ビル | 消防査察の対応
報告書に記載されている期日までに改修が終わりません!即罰則ですか?
そんなことはありません!しかし、長々と放置すると東京消防証のHPで公表されてしまう事があります。。
消防総監は、防火対象物の設備、管理物の状況が法令及びこの条例の規定に違反する場合は、都民が当該防火対象物を利用する際の判断に資するため、その旨を公表する事ができる。
火災予防条例 第64の3
「東京消防庁 違反建築物」で検索すると、その区ごとの違反建築物の一覧が出てきます。(東京消防庁HPはページ直接へのリンクは貼れないようなので、ご自身で検索してください。すぐ出てきます!)
ざっと見たところ、指摘として多い項目としては、
- 消防計画未作成
- 防火防災管理者未選任
- 自衛消防組織未設置
- 防火対象物点検未実施 などなど・・・
同じ消防計画でも、法令上は「防火」「防災」それぞれ別のものとして取り扱います。公表される場合でも別の項目として公表されて、指摘だらけのビルに見えてしまいます。。
また、公表されるタイミングについてはおおよそ1年間、指摘されてから放置していると公表されると聞いた事があります。(実際に管理しているビルで公表されていないのでわかりませんが・・・)
注意しなけばならないことは、「入居テナントの指摘事項であっても、ビル名もしっかり公表される」という事です。
東京消防庁の公表ページを見ると、ビル名が一番最初にきています。しっかり見ればビルではなく入居しているテナントとわかりますが、いずれにせよいい印象ではありません。
入居テナントの管理ができていないビルだと見られてしまいますね。。
公表されている違反建築物の公表ページの中には、スプリンクラー設備機能停止・自動火災報知設備停止など、設備的に重篤な指摘を放置しているビルもあります。
人命に関わりますので、このようなビルは利用しない方が無難です。
終わりに | ビル | 消防査察の対応
東京消防庁のHP上で公表されている違反建築物を見ると、30年以上前から放置されている指摘も見受けられます。
お客として利用する予定のビルが違反建築物だと知っていたら、利用したくないですよね?
空室がある場合のリーシングの際も、違反建築物として公表されていたら、わざわざそんなビルに入居したくないですよね?
消防査察!というと慌ててしまうこともあるかと思いますが、しっかり対応して乗り切りましょう!
常日頃からの防火防災管理への取り組みが何より大切です。
査察にいつ入られても大丈夫なように準備ができているといいですね!
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
私自身、ビルのオーナー側として消防査察を5回ほど対応しています。
管轄の消防署によって若干の違いはありますが、経験した内容をまとめます。