この記事を読んで欲しい人 | ビル屋上 | 基地局
この記事は
- ビルを管理しているが、屋上の基地局について知りたい
- 基地局設置の依頼を受けた。受けてもいいの?
- 屋上の基地局で副収入がほしい!
こういった考えをお持ちの方に向けて書きました。
もくじ | ビル屋上 | 基地局
私が管理するビルの屋上にも複数の基地局が設置されています。
新設、運用についてはいくつか注意点があります。
実務での経験を活かして、まとめていきます。
そもそも基地局とは? | ビル屋上 | 基地局
基地局とは、スマホや携帯電話の電波を繋ぐためにビルなどの屋上に設置される設備のことです。大型のキュービクルを備える大型のものから、ほんの数メートル程度の物まで大きさはさまざまな種類があります。
え?電波って東京スカイツリーのような大きな電波塔からきているんじゃないの!?
東京スカイツリーは「地上デジタル放送」のための電波送信がメインです。携帯電話などとは異なります。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの大手の通信会社は自前でそれぞれ専用の基地局を用意して電波を飛ばしています。楽天も自社での基地局を増やしているとよく聞きますね!
一つのビル屋上に、複数の会社の基地局が設置されていることもよくあります。
設置することのメリット | ビル屋上 | 基地局
屋上に基地局を設置することのメリットは大きく2つあります。
- 収入になる
- 周辺の電波が良くなる
大きくはこの2つです。順に説明して行きます。
収入になる | ビル屋上 | 基地局
ビルの屋上を貸すだけといえど、契約書を取り交わして、毎月の家賃収入を得ることが可能です。
規模によっては電気代の精算も必要です。
家賃相場はあるようで無いような物なので、その当時の経済情勢などに左右されますのでなんともいえません。
競合と比較できる物でも無いので、各通信会社との協議になると思います。
月々の家賃は数千円のものもあれば、数十万で契約したものもありました。
オフィスの家賃と異なり相場がないので、その都度協議して行きましょう。
電波が良くなる | ビル屋上 | 基地局
屋上の基地局は電波をよくするために設置しますが、対象エリアはビルの周辺道路です。
え!?ビルの中の電波が良くなるわけではないの?
よく質問を受ける内容ですが、違います!
屋内用と屋上の基地局は全くの別物です。
ビルの中に飲食店街があるなど、公共性の高い場合は館内向けの電波増強のアンテナを設置するケースもありますが、今回は屋外用を対象としたアンテナを想定しています。
屋上の基地局からの電波はお風呂のシャワーのようなイメージで降りていくと聞いたことがあります。
- あまり遠くまで飛ばすことができない
- 電波の種類によっては建物などの障害物を透過できない
これらの理由により、民間のビルの屋上につけて、前面の道路などにシャワーのように降り注がせて電波を送信しています。
一人一台以上スマホを持っているこの時代に、「ビルの周辺の電波が悪い」のはデメリットでしかありませんよね。
設置することのデメリット | ビル屋上 | 基地局
もちろん、メリットだけではありません。デメリットについては以下が挙げられます。
- 基地局によっては工事が大規模になる
- ビル側のミスで停電してしまうと基地局も停電
- 屋上防水などの工事がしにくくなる
- 基地局が大きい場合、ビルへの負荷が大きい
- 「電波が!健康被害が!」とのご意見をいただくことも
- ビルの見栄えが少し悪くなる
細かいことばかりですが、挙げてみました。しっかり対策をすれば解決できることばかりです。
工事が大規模 | ビル屋上 | 基地局
基地局が大規模になると、当然工事も大規模になってきます。
私が扱った中では、専用の受電設備を設けるなどのもので設置工事期間が2ヶ月かかったものもありました。
ただ、その分家賃も多額のためありがたかったですね!
工事が大規模になってくると、
- 工程の把握
- 業者さんや作業員の入退館管理(駐車場も)
- 重量物搬入の段取り
- 音出し作業などの時間管理
- 周期発生作業などの時間管理
これらもビル側で把握しておくため、定期的な打ち合わせの実施や対応が必要になります。
ビル側のミスで停電した場合 | ビル屋上 | 基地局
屋上の基地局は当然、ビルの電源を使用しています。
ビル側の設備の不具合や。人為的なミスで停電してしまった場合は屋上の基地局も停止します。当然、電波の送信も停止します。
電波は立派なインフラなので、その電波障害の範囲が広く、また障害発生の期間が長い場合は関係省庁からそのキャリアに聞き取りや指導などが入ることもあるようです。
ビル側に責任がある場合は聞き取りや再発防止策の提出などを求められる可能性があります。
ビル側のトラブルで停電した場合、迷惑のかかる範囲が広くなるので要注意です。
通常に管理していれば大丈夫ですが、あくまで可能性の一つとして認識しておきましょう。
防水工事の支障に | ビル屋上 | 基地局
屋上に基地局を設置する場合、鉄骨を置いてその上に設備を設置することが多いと思います。
ただし、将来的にビルの屋上防水工事を実施する時のことを考える必要があります。
直接床の防水の上に直置きしてしまうと、その下の部分の防水に一切触れなくなってしまいます…
キャリア側は工事費を下げたいので「床面直置き」で初めに提案してくることも多いです。
ビル側の要望として架台(かだい=設備をおくための土台)を設置してその上に設置してもらうように要望しましょう!
電波が!健康被害が!とのご意見も | ビル屋上 | 基地局
これは社内社外問わずですが、「健康被害が〜」とのご意見をいただくことも稀にあります。
もし社内の決裁権者がこの思考だとかなり苦労しますが、近隣からの第三者であれば、ある程度は無視してもいいのかなと思います。
現代、スマホの電波を初め電波は目に見えないだけでそこらじゅうに飛び交っていますし、本気で避けるなら携帯電話は当然持たずに、電気が来ていない山奥に行かなければ行けないかも、、、と考えたこともあります。
以前、とあるキャリア担当者と話をしましたが、そういう方の交渉役として、とある有名大学の教授で専門の方に要請して、説得してもらうこともあると聞きました。
諸説ありますし、健康被害がゼロだと言っているわけではありません。
ビルの見栄えが少し悪くなる | ビル屋上 | 基地局
ビルの屋上に電波塔が立つと、見方によってはかなり物々しい景色に見えます。
ただ、個人的感覚では
- わざわざビルを見上げるのはビルの関係者がほとんど(第三者は気にしていない)
- 道路に電波を送信する以上、見えるところに設置する必要がある
- すぐ慣れる
これらの理由により、そこまで気にしなくてもいいと思っています。
ただし、社内で説明するときには「下から見上げたら少し見えます。そりゃあ、通行人向けの電波ですから、通行人から見えないと電波は届かないです』
これくらいの内容を伝えておき、保険をかけておいた方が無難です。
どうしたらつけられるの? | ビル屋上 | 基地局
基地局のメリットデメリットはわかりました!
つけて欲しい場合はどうしたらいいの?
こちら側から何かすることはありません。
通信会社側からの打診があります。
基地局の設置に関しては、通信会社側からの連絡でスタートします。こちらからの提案では動きません。
通信会社は逐一、電波の弱い箇所を把握していて、電波が弱く強化する必要がある場所の近くのビルオーナーに声をかけています。
候補となるビルについて聞いた話ですが、
- ある程度の人の通行量がある
- 電波が弱いとの問い合わせが多数ある
- 電波を強化したい通路などに面している
などの条件があるようです。
設置して欲しい通信会社のHPに「電波が悪いです!」という問い合わせを大量に入れればビルに来てくれるかも?(冗談です)
設置するときの注意点 | ビル屋上 | 基地局
実際に通信会社からの問い合わせがあった場合を想定して、設置から運営時の注意点をまとめます。内容としては下記のとおりです。
- 新規設置時の注意点
- 将来的な防水工事を考慮
- 工事工程の確認
- 運営時の注意点
- メンテナンスなどのための作業員入館
- 電気代などの入金スケジュール
- 契約書締結などの事務手続き
将来的な防水工事も考慮 | ビル屋上 | 基地局
基地局を自由に設置させてしまうと、ビルの防水工事の邪魔になることもあります。
普段から大規模改修工事を依頼している業者さんとも相談して、防水工事の邪魔にならないような設置方法を通信業者さんに要望することが大切です。
設置位置と仕様については工事途中で変更することはできません。
設置が決まる前、可能な限り早めに要望として出しておきましょう。
工事工程の確認 | ビル屋上 | 基地局
新設工事を実施する場合、図面と工程表が出てくると思います。
- 作業員の入館時手続き
- 駐車場がある場合は利用台数と車種
- 騒音作業、周期発生作業の確認
- 重量物搬入作業の確認
最低でもこれらを確認して、近隣や入居中のテナントに迷惑のかからないようにしましょう。
最上階のテナントや、搬出入の多いテナントへは事前に周知しておくと安心です。
また、重量物を設置していいかどうか、設計会社などに事前に確認しておくことも必要です。
運用上の注意点 | ビル屋上 | 基地局
続いて、日常の管理運用上の注意点をまとめます。
先に触れたデメリットや、工事実施上の注意点とも共通する点もありますが、念の為確認して行きましょう。
作業員入館手続き | ビル屋上 | 基地局
基地局の稼働中は日常のメンテナンスだけでなく、通信障害が発生した時の緊急作業も必要となります。
作業員の方の入館のため、作業の届出書などビルの所定の手続きについても確認しておきましょう。
ビル常駐の警備さんや設備さんとも共有しておきましょう。
電気代などの入金管理 | ビル屋上 | 基地局
毎月同額の入金がある場合は忘れないですが、年に1度しか入金がないケースも多いです。
賃料、電気料金などの入金スケジュールを整理しておくことが大事です。
普段見慣れない入金があると、経理担当が慌てます。
年に1度、毎年のように契約書を確認したりするのも手間です。
契約書などの手続き | ビル屋上 | 基地局
- 運用後に設備を追加
- 電気料金の変更
運用後にこれらの自体が発生した場合は、契約書の変更、覚書の締結などが発生します。
その都度、書類のやりとりなどが必要になります。
電気料金については固定で取り決めすると、設備の変更の際に都度変更が必要になります。
個人的にはメーターを設置して、従量制での精算をお勧めします。
終わりに | ビル屋上 | 基地局
ビルの屋上に設置する屋上基地局。人通りが多くないと問い合わせ自体が来ませんが、人通りが多い立地のビルは、いくつもの通信会社の基地局が設置されています。
管理は大変ですが、大きな収入源になります。
コロナの影響でも撤退や縮小もあまりなく、手堅いと思います。
しっかり準備して収入増につなげられればいいですね!
最後までお読みいただきましてありがとうございました!
私が担当しているビルの屋上にも多数の屋上基地局が設置されています。
ビル管理を15年以上行っていますが、立地によっては非常によくある話です。そして、大きな収入にもなります。ぜひお読みください!