この記事を読んでほしい人 | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
この記事は
- オフィスビルの仲介をしたい不動産仲介業者さん
- 仲介業者として独立!稼ぎたい!という方
- オフィス、飲食などのビルのテナント仲介に苦労されている方
上記の方に向けて書いています。
私自身、オフィスや飲食ビルのオーナー会社に勤めて、
- 新規契約
- 入居工事の管理
- 入居中のアフターフォロー
- 大規模修繕手配
上記を一通り担当しました。
その実務の中で、頼りになる仲介業者さんとそうではない仲介業者さんの違いを感じる機会も多くありました。
そこで今回は実務の経験の中から、ビルオーナー側の担当者から見て、
- この仲介業者さんにお願いしたい!と思う理由
- 最低限覚えておいてほしい項目
これらについてまとめました。
もくじ | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
ビル側担当者としては、退去予定などが出るとまずは信頼のおける馴染みの仲介業者さんから声をかけたくなります。
どうしたら信頼を寄せられるのか。。参考になれば嬉しいです!
居住用の仲介との違い |オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
本題に入る前に、アパートなどの居住用の仲介とオフィスや店舗などの仲介の実務における違いを紹介したいと思います。
不動産仲介をする際の契約形態にもよりますが、例えば、「一般媒介契約」であれば基本的にどこの仲介業者さんであってもお客さんを紹介することが可能です。
オーナー側の立場からすると、通常の居住用のアパートであれば基本的にはどこの仲介業者さん経由でも問い合わせなどはどんどん受け入れることがほとんどです。(もちろん、収入等の入居審査はありますが)
一方、オフィスや飲食区画についてはビル毎のルールや設備、条件やスケジュール管理なども非常に煩雑になるので、ビル側としては何度か取引経験のある(仕事のできる)仲介業者さんの紹介であれば受けたいと考えます。
誤解を恐れずに言うと、
- 前に連れてきたお客さんが難ありだった
- 仲介業者の対応で過去にトラブル
これらの理由で、ビル側から何となく出入り禁止になっている仲介業者さんがいることもあります。(当然、公にはなりませんが)
居住用と比較して、オフィスや飲食区画は扱うお金も大きく、労力もかかるので信頼できるところにお願いしたいと考えるビルオーナーは多いと思います。
あくまでも個人の見解です。「ビルオーナー」と言ってもその規模が様々ですし、組織的な大企業と、一族で経営している中小企業とでは異なります。あくまで筆者個人の見解として参考までにとどめてくださいね!
ここまではっきりとした出入り禁止にしなくても、仮に大口テナントの退去予定が出た場合、なじみの仲介業者さんのみに先行して情報を開示し、情報を広く告知する事なく次の入居者さんを決めてしまうことはよくあります。
簡単にまとめると、
- オフィスや店舗の仲介はビル側との付き合いが何度も発生すること。
- 一度信頼を勝ち取ると大きな利益につながる可能性が高い
この二つが居住用不動産の仲介との大きな違いだと感じています。
それではここから、ビル側の立場から考える、オフィス・店舗仲介業社さんに強くお願いしたい項目についてまとめていきたいと思います!
秘密を口外しないこと | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
不動産仲介は情報戦です。
- どこのビルは賃料単価○○円で募集している
- どこのビルの大口テナント△△がいつ退去する予定
- どこの飲食店はいくらで契約した
これらの情報は不動産仲介業者さんや移転・出店を考えている企業さんからすると喉から手が出るほど欲しい情報です。
その分そういった情報が漏れてしまうことも多いですが、漏れてしまうとトラブルの原因にもなり得ます。
- オフィスであれば事務所賃料
- 飲食店であれば店舗の賃料を始めとする契約条件(売り上げに応じた歩合賃料等)
これらが漏れてしまうことでライバル会社との競争に負けてしまうこともあります。
不動産仲介業者さんはそういう類の情報に触れる機会が多いため、しっかりと秘密を守ることのできる人、秘密を守れる体制の会社であることは必須条件だと考えています。
その反面、仲介業者さんの間でのそういった情報が非常に早いことに何度か驚かされました。(中にはガセネタが含まれていたこともありましたが。。)
工事知識がある | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
居住用物件と大きく異なることは、『入居工事があること』です。
居抜きや、内装付きの場合を除いては基本的に店舗物件はスケルトンでの引き渡しになります。
そこから入居テナントさんの希望に合わせて工事をしていくわけですが、仲介業者さんも最低限の知識を持っていてくれないと話がスムーズに進みません。
具体的にどんな知識があるといいの?
幅広い設備や関係法令について詳しいことに越したことはないのですが、最低限知っておいてほしいことを紹介していきます。
電気の知識 | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
飲食でもオフィスでも、通常の電力に加えて追加で電気を引きたいケースはよくあります。一例を挙げますが、
- オフィスでサーバーを設置予定
- 飲食店で大型の厨房機器を設置予定
- 空調機を増設予定
これらの場合は電気を追加で設置可能かどうかが入居の条件になります。
仲介さんとしても電気を引ける物件かどうかを早く区別する方がお客さんの為でもありますし、自分自身の手間を減らすためにもなります。
そこで、
- 電気には電灯と動力の2種類がある事
- 電気の計算には単純なアンペア数ではなく、仕様する機器の定格容量等が必要
- 機器の電力は起動時の突入電力が一番大きな場合もある
最低限これらについては理解して仕事を進めてもらうと、ビル側としては非常にありがたいです。
電気は複雑なので詳しいことはわからなくても、お客さん側でおおよそ設置する機器(類似機器でも十分)のカタログなどを事前に用意して相談してもらえると「できる仲介業者さんだな!」と思います。
消防設備の知識 | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
オフィスでも飲食でも、区画を細かく間仕切って使用することはよくあります。しかし防音や防犯のために壁を天井まで立ててしまうと、消防設備の追加・増設が必要になります。
壁を天井まで立てた時に工事が必要になる可能性のある消防設備の例を挙げると、
- 非常放送
- 煙感知器
- 誘導灯
- スプリンクラー
これらの設備の増設が必要になる場合があります。
お金をかけても小部屋が欲しい!というお客さんであればいいのですが、多くの場合は予算を掛けずに工事したい場合がほとんどです。
専有部の中に区画を作りたい場合でも、
- 簡易的な間仕切りにすること
- 天井まで立てない欄間オープンにすること
上記の内容であれば、消防関係の工事を削減することができますので、必要知識として備えておいていただけると、話が早くていいですね!
必要な消防設備についてはビルの用途や区画の広さなどでも異なります。詳しくは消防設備業者さんや、最寄りの消防署に確認、相談することをオススメします。
ビルの消防設備についてまとめた記事はこちら!
また、増設が必要になった場合はB工事(ビル側の指定業者)になる場合がほとんどです。
B工事についての記事はこちら!
法人を相手にすることの実務上の違い | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
オフィスビルや飲食店舗などの仲介業者さんですと、個人ではなく法人を相手にすることが増えて来ます。ここからは個人を相手にする場合との違いをまとめたいと思います。
仕事をする相手が個人ではなく、法人(=会社)ですと色々な違いがあります。仲介業者の皆様に読んで欲しいです
捺印スケジュールを把握しておく | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
時代はペーパーレス、電子決裁に進んでいますが、不動産関係の現場ではまだまだハンコを押す場面が多くあります。
ハンコを押すために社内決裁などの所定の手続きが必要な場合も多いです。大企業や役所関係ですと数週間かかる場合もあるので、事前に確認しておくことが必要です。
また、下記のハンコの種類
- 角印・・・会社の印である場合が多い
- 代表印・・・会社の代表取締役の印
会社によってはハンコの種類で決裁の手間が違うこともあるので、そこも意識してもらえるとありがたいです!
入金スケジュールを把握しておく | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
契約が完了した後は敷金や初回賃料の入金日の調整ですが、個人と法人の違いはここでも出て来ます。
法人の場合は支払いのスケジュールが決まっている場合があるので、事前にそこも確認しておきあます。
- 毎月何日が締め切りで、何日後払いなのか
- 予定外の支払いはどの程度可能なのか
こちらも大企業ほど厳しい印象があります。
「正式な請求書でなくていいので、金額と内訳を先にください!根回しだけしておきます」なんてやり取りも良くあります。組織が大きいほど、窓口の部署と会社内の経理とのやりとりが煩雑なケースが多い気がします。
個人の場合はお金の振り込みはすぐにお願いできますが、法人ではなかなかそうはいきません。スケジュール管理が大変ですが注意しましょう!
終わりに | オフィス | 店舗 | 不動産仲介 | 必要知識
今回は、ビルのオーナー会社の担当から、オフィスや店舗仲介さんにお願いしたいことをまとめました。
通常のアパートやマンションと異なり、オフィスや店舗区画は面積も大きく単価も高いので大きな収益になります。その反面。注意すべき点や必要な知識もたくさんあります。(ここで紹介しただけではありません)
仲介業者さんも「決めたら終わり」というスタンスではなく当たり前のことを当たり前に進めると、次の仕事に繋がっていくと思いますよ!
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!
オフィスや飲食店舗などの仲介はアパート等の居住用不動産の仲介と大きく異なります。
その違いも併せて紹介していきたいと思います!